三倉岳 標高701.8m

三倉岳休憩所付近から見た三倉岳 子負岩分岐から小負岩へ至る稜線から見た三倉岳
三倉岳休憩所付近から見た三倉岳。
この山姿は有名。
子負岩分岐から小負岩へ至る稜線から見た三倉岳。
左の画像の真裏から望む。
左より朝日岳・中岳・夕陽岳・三倉岳山頂。



三倉岳は西広島地区を代表する有名な山だ。大竹市栗谷町小栗林地区からの登るAコースやBコースは あまりに有名なので、ここでは紹介しない。書籍や他のインターネットページを参考にされたい。 三本槍は大竹市側に属するが、三角点のある山頂から瓦小屋山への稜線の一部が、 大竹市と廿日市市との市境になっている。

札ヶ峠〜倉掛山〜子負岩〜山頂

札ヶ峠からの取付は「鳥獣保護区」の看板のところにある(A-1)。ちょうど、 勝成山縦走路の下山口から林道小栗林線を 挟んだ対面になる。すぐに稜線へ出て倉掛山の尾根道を南西方向に進む。途中、尾根の両側が崖になるところでは、 注意しながら進む(A-2)。しばらく進むと倉掛山山頂の手前で子負岩分岐に達する(A-3)。 ここで西方向へ分岐し、さらに尾根道を進む。 やや道が荒れてくるが、困るほどではない。時折、眺望に優れた場所もあって、小栗林地区から三倉岳 を望む景色のまるで逆から望む三倉岳が展望できる。やがて目指す子負岩(A-4)も目前となる。子負岩の手前でロープで岩 を登り(A-5)、子負岩の東側を再びロープで降りて大きく迂回して子負岩を越える。 さらに数個の巨岩を越えて進む。これらの巨岩は絶好の展望地となっており、 東北西方向がよく見える(A-6)(A-7)。 また、途中の巨岩のところで、廿日市市浅原(市井原地区)からの登山路が合流する(A-8)
なお、山頂手前の九合目非難小屋への分岐位置に制止テープが張られていて、AコースやBコースからの登山者が誤って 子負岩方面や浅原方面に行かないように制止している(A-9)。その先が、2等三角点のある山頂である(A-10)
子負岩分岐より南側の倉掛山山頂方向にも尾根道が続いており、三倉岳の勇壮な姿を堪能できる。しかし、山頂から 先の尾根道は荒れているので行かない方がよい。

(注意)
勝成山のレポートで記述しているが、林道小栗林線は2005年9月の台風により、 小瀬川左岸が崩壊しているので、廿日市市浅原地区から車で札ヶ峠方面に進入できない。徒歩では通行できる。(2006年1月現在)

(A-1)札ヶ峠の取付。 (A-2)登山道の両側が崖になる所。
(A-3)倉掛山の子負岩分岐。
古い道標があるが文字は消失。
(A-4)稜線から子負岩を望む。
(A-5)子負岩の手前でロープを登る。 (A-6)羅漢山を望む。
(A-7)障子ヶ岳と二代木山。 (A-8)浅原方面や631m峰方面の分岐。
浅原方面尾根から尾根道を望む。
(A-9)制止テープ。 (A-10)2等三角点、点名は「三倉山」。



廿日市市浅原(市井原地区)〜冠岳東側の谷道〜子負岩のある尾根

小瀬川にかかる市井原橋の南側に冠岳の東側を南へ詰める林道(林道名不詳)への分岐点がある(B-1)。 ここは、国道186線だが、新市井原橋ができた関係で旧道となっており、めったに この橋を通過する車両はない。林道は、舗装されており、峠を越えて約400m進んだところで舗装道終点となる。 白迫谷へ差し掛かると林道脇から伸びた雑草で覆われているが、少し進むと改善される。 舗装道終点から先にも道は続いており(B-2)、谷川を2回渡って、後述の小瀬川ダムの堰堤側から 冠岳の東側を延びる山道に白迫谷分岐で合流する。
舗装道終点の手前から東へ分岐する未舗装の林道を詰めて(B-3)、子負岩のある尾根へと向かう。 この林道は、25,000分の1地図にも明確に書かれているが、法面が崩壊した箇所もあり、路盤が 荒れており車では進入できない。 途中、灯籠岩南側のコルへ至る谷を南側に見る所までは、比較的歩きやすい道が続いている。 この先は、流水が路盤を洗い出した状態となっており歩き難い。また倒木も多く進路を 妨げている(B-4)
標高約510mで、林道の幅員が減少し通常の山道になる。さらに、少し進むと道は分岐して、 向かって右手の谷を詰めるルートと正面の尾根を登るルートとのどちらかを選択する形となる(B-5)。 ここでは、前者の向かって右手の谷を詰めるルートを選択する。後者のルートも地図に記載しているが、 単に遠回りとなるだけだ。少し進むと631m峰と子負岩のある尾根の間のコルへ達する(B-6)。 コルから南東方向へ進むと(かなり急登)、子負岩のある尾根(標高約660m地点)で札ヶ峠からの 尾根道と合流する(A-8)

「631m峰の南西尾根を経由するルート」

白迫谷を南へ詰める林道の途中から上述の未舗装林道へ近道となる 登山道(25,000分の1地図にも記載されている)がある。このショートカット路の 取付には、「山火事注意」と「保安林」の標識があるが、目立たないのでわかりにくい(B-7)。 多少荒れ気味の道だが、踏み跡は明確だ。途中谷が2分岐する地点では、南東側の谷を進む。 まもなくコルに達し、631m峰の南西尾根を直登するルートが分岐している(B-8)。 コルを越えると、未舗装林道まではすぐの距離だ。 コルから631m峰の南西尾根を登る登山道は、荒れていてヤブコギ無しでは登れないが、途中の岩からの展望 は秀逸であり面白い。631m峰は北東〜南西に長細い形をしており、南西側のピークは岩場になっており 眺望に優れている(B-9)。631m峰から南東方向に進むと、上述の未舗装林道からのルートと合流する。
631m峰から北東へ伸びる尾根から、北側の林道小栗林線へ下山するルートを探ったが、 シダが繁茂した尾根が続いており、踏み跡も無い。この方向に進んではならない(B-10)

冠岳東側の谷道の未舗装林道からルートも、631m峰の南西尾根からのルートも荒れているので、 このページを読んだ方に推薦できるようなルートではないように思う。、 後述の「灯籠岩南側のコル」を目指すルートが比較的歩きやすいので、未舗装林道 より川を渡って、灯籠岩南側のコルへ至る谷を詰めるルートを進むとよいだろう。

(B-1)市井原橋の南端を東方向へ分岐する林道。 (B-2)舗装道終点からも、南の白迫谷分岐へ道は続く。
(B-3)未舗装林道の分岐点。 (B-4)未舗装林道の上流部は大変歩き難い。
(B-5)谷の最奥部での分岐。 (B-6)631m峰と子負岩のある尾根の間のコル。植林地内。
(B-7)ショートカット路への取付。 (B-8)途中のコル。ここより、631m峰の南西尾根を直登する
尾根道が分岐する。
(B-9)631m峰南西側ピークから子負岩を望む。 (B-10)631m峰の北西尾根。シダ尾根。
この尾根には行かないこと。



小瀬川ダム堰堤やや下流の取付〜冠岳東側の谷道〜灯籠岩南側のコル

小瀬川ダムの堰堤から国道186号線を下流に数百m進んだところに取付がある(C-1)。この取付は冠岳への登山路としても紹介されている。 緑色のゲートは閉じられているが徒歩で山道へ入ることができる。冠岳分岐(C-2)を過ぎて、白迫谷分岐も過ぎて、東へ伸びる 谷の南側を進む。谷川を挟んで北側には前述の未舗装林道がある。 途中、灯籠岩南側のコルへ至る谷を南側に見る所付近では、踏み跡は明確ではないが谷川を渡って相互に往来できる。
この付近より、南東方向に分岐(C-3)して、灯籠岩南側のコルを目指して大竹市と廿日市市の境界線に沿って谷を詰める。 それほど広い谷ではないが、谷川を挟んで、両側に登山道があって、標高約480m付近で合流する。 谷の西側の登山道の方が広く歩きやすいように思える。一方、谷の東側の登山道はやや狭いが歩き難いことはない。 途中「喧嘩場跡」の標石を経由する(C-4)。この史跡には説明板などが無いので、由来を知らないが、 「大竹市史 本編第1巻」(大竹市役所/編1961年)の323〜324ページに、小栗林村と浅原村の境界争いに関する記述があり、 記録に残る大がかりりなものだけでも、1646・1687・1692・1705・1720・1739年の6度に及んでおり、両村が争ったのは、「札場の谷、倉懸山、五葉松山」であったと記載されている。恐らく「喧嘩場跡」は、小栗林村と浅原村の紛争地跡であろう。
谷の両側の登山道が合流して少し進むと。 標高約490m付近で谷が分岐する(C-5)。ここでは南東側の谷へと進む。谷川を渡り、植林地を通り抜ける。植林地を抜けると 再び谷が分岐するので、ここでは、中央の谷をややトラバースしながら、灯籠岩南側のコルへ進む(C-6)
灯籠岩南側のコルでは、登山道が交差点状に分岐しており、南へ分岐すると瓦小屋山方面、東に分岐すると大栗林地区へ下山する。 北へ分岐すると、灯籠岩の東側を経由して、三倉岳山頂(三角点地)(A-10)へ至る。 なお、標高約490m付近から、踏み跡がやや明確さに欠けてくる。 黄色のテープを付けておいたので、このルートで登る方の参考にしていただければ幸いである。

(C-1)小瀬川ダム堰堤から数百m下流の取付。 (C-2)冠岳分岐。
(C-3)南東方向へ分岐する。
わかりにくいので、黄色のテープを付けてある。
(C-4)「喧嘩場跡」の標石。
(C-5)標高約490m付近。川を渡り、向かって左手の谷を進む。 (C-6)灯籠岩南側のコル。大栗林方向から望む。



Bコース取付〜エギ谷〜一ツ岩〜九合目小屋

三倉岳と倉掛山の間の谷(「エギ谷」というらしい)を詰めて九合目小屋へと至るルート。 「広島をめぐる山と谷 加藤武三/編」に、三倉岳からの下山ルートとしてこのルートに関する記述がある。 1日かけて調査し、このルートでは九合目小屋へは到達できないという結論に達した。 登山道が山肌の崩落などにより消失しているためである。
三倉岳休憩所の駐車場への車道脇にBコース起点がある(D-1)。すぐに向かって右手に分岐があり、 谷川に沿ってエギ谷への山道を進む(D-2)。谷川を挟んで東側に倉掛山への分岐がある。 「入山禁止」の札がある上に、「札ヶ峠〜子負岩のルート」で記述したように、 尾根道はたいへん荒れているので、ここから、 倉掛山方面には登らない方がよい。そのまま谷川の西側をややトラバースして進む。 小さな支流を渡ってすぐの分岐点で西方向へと進路を取る(D-3)。 道らしいのは、分岐後約100m程度だ。その先は、何箇所も山肌が崩落しており、踏み跡と思われる痕跡すら 見当たらない。道があれば、途中の一ツ岩などの景観もよく面白い登山ルートなのだが、登ることすらできないほどに 荒れている。 それでも、かなり強引に登って、巨大な一ツ岩(D-4)(D-5)や、 一ツ岩の間から湧き出す湧水(D-6)など撮影できた。
一方、九合目小屋からエギ谷方面への下山路を探ってみた。オンボー池の下にある壊れた便所の横から、トラバースした 下山路の微かな踏み跡があり辿ってみたが、夕陽岳と中岳の間のコルの手前で道が崩落していた。
この登山ルートは、かなりの昔に消失しているようだ。現在ではどうにも登ることはできない。

(D-1)Bコース起点。 (D-2)Bコースから分岐し、谷川沿いに登る。
(D-3)九合目小屋方面への分岐。実際には、
登山道が崩落し九合目小屋へは到達できない。
(D-4)一ツ岩。直下より見上げてみる。
(D-5)一ツ岩。朝日岳北側の岩場より撮影。 (D-6)谷間の湧水。一ツ岩の間の洞窟から湧き出している。



紹介したルートは、AコースやBコースのように整備されていないし、ヤブコギの必要な箇所もある。 時折テープがある以外に標識もない。したがって、地形図を確かめながら登る必要があるが、 ほとんどが自然な登山道であり、三倉岳の面白さを別な角度で味わえると思う。



三倉岳の登山地図
「この地図は、国土地理院長の承認を得て、 同院発行の2万5千分の1地形図(玖波)を複製したものである。 (承認番号 平17総複、第341号)」

なお、このページ内で使用している登山ルートの名前・登山口や分岐点の名前などは、便宜上、作者が勝手に命名したものもあります。 地図に記載した登山ルートはGPS等により測定したものではありません。

作成:2006年1月29日 & 2010年1月15日



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