西大峯山標高1,009.9m 〜 オオネントウ 標高878.1m

〜 御本陣松山 標高738.9m

錐山山頂やや東側より西大峯山を望む。 御本陣松山を上川上地区より望む。
錐山山頂やや東側より西大峯山を望む。 御本陣松山を上川上地区より望む。



西大峯山は、その名の通り大峯山の西側にある山だ。大峯山は、数々の登山本やインターネットで紹介されているメジャーな山だが、西大峯山は、メジャーな山とはいいにくい。 大峯山〜西大峯山〜オオネントウ〜御本陣松山まで続く縦走コースは、 長く時間もかかるが、 大峯山系を堪能できるので、一度は歩いていただきたいものである。 西大峯山山頂の南側〜東側のシロモジ純林は必見の価値があると思う。 なお、西大峯山・オオネントウ・御本陣松山ともに、25,000分の1地図に山名は記載されていない。 3年前に、西大峯山のレポートを記載したが、若干の追加調査を行い一部内容について 加筆訂正を実施した。 インターネット上に複数のレポートが掲載されている。参考にさせていただいた。

上川上〜ツヅラガ谷〜西大峯山

玖島川上のバス停の三叉路
(A-1)をオクノハラ谷方面に進む。 上川上の現在の耕作地が終わる地点にツヅラガ谷から流れ出る谷川にかかるコンクリート橋がある。 この橋の袂が取付となる(A-2)。 北側に分岐し、ツヅラガ谷を登る。舗装道はすぐに終わり、 丸太橋をわたり谷の西側の山際を進む(A-3)。 標高650m付近までは、棚田跡の植林地内を進む。 谷が狭まり、棚田跡が終わる地点の山側には七人墓がある(A-4)。 七人墓については、 大峰1050のページ 「のた超え、七人墓、さんのう(山王)さん物語」 を参照されたい。棚田跡が終わる地点の先で谷川を渡り、谷川と谷川に挟まれた小さな尾根を登る。 2ヶ所の炭焼き釜跡を過ぎて、標高790m付近で植林地が一旦終わりシロモジ主体の雑木林となる。 この付近は、大きな石がゴロゴロしているゴーロ帯になっている。石だらけで 尾根の東側は歩きにくいので、やや西側をコース取りするとよい。 やがて登山道は、尾根の東側へ移り、東側にナメラ滝(A-5)を見る地点の先で 笹藪の中に突入する。笹藪はすぐに終わり、カレキガ丘の東側を進む。 (笹藪の西側の笹のないところを直登してカレキガ丘を超えて登ることも できるようだが、未確認。) カレキガ丘の東側で再び植林地となる地点に保安林の標識がある(A-6)。目印になる。 カレキガ丘の北側は、湿地帯となっている(A-7)。 この湿地帯の東側をトラバースしながら進むと西大峯山山頂東側の主尾根で 縦走路に合流する(A-8)。湿地帯付近の踏み跡は大変薄いので、地形図を見 ながら進むといいだろう。 一方、湿地帯の北側を高巻きして、西へ進み直接山頂へ登ることもできる。 踏み跡はないが笹がないので歩きやすい。 この付近(山頂の南側)はほぼシロモジの純林で、大峯らしさを感じる景色である。 「西中国山地」(桑原良敏著)にも、このシロモジの純林は大変特異なものと記されている。 新緑の季節にはとりわけ美しいと思われる。 シロモジはこの付近の山で普通に見かける木だが、作者の知る限り、純林を形成しているのは、ここと北大峯山の山頂付近だけかもしれない。 このルートには、テープで目印が髄所にあるが間隔は密ではない。 特に山頂付近では、踏み跡が薄いので、注意を要す。 山頂まで、1.5時間程度。

上川上〜タキ谷峠〜ヨコロ峠の西側約200m

ツヅラガ谷の登山口を過ぎて、さらにオクノハラ谷方面に進んで谷を詰める。 舗装道終了場所から道は2分岐となり、 向かって左(南西側)(A-9)へ進む。植林地を進むと伐採後新たに 植林されていないと思われるところ(A-10)に出る。 ここから西方向に分岐(A-11)し、タキ谷峠へ至る(A-12)。御本陣松山からオオネントウへ至る尾根道の2番目のコルだ。 峠に至る大半の道がトラバース状態となっている。整備状況も比較的よく(A-13)、赤テープもある。 なお、タキ谷峠を越えて虫道側へ谷を降りると、ヨコロ峠の西側約200mの所で県道虫道廿日市線に至る(A-14)

御本陣松山

西大峯山からの尾根がオオネントウで尾根が南西向きと南東向きに大きく分かれるのだが、 この南東向きの尾根の末端にある山が御本陣松山だ。虫道と上川上地区の間に位置している。
県道虫道廿日市線からの取付は3ヶ所。 一つ目は、御本陣松山の西側の取付(A-14)。この取付には何の目印もなくわかりにくい。 御本陣松山の山頂には一番遠いが比較的登りやすい。ここから御本陣松山の尾根に進まずに北側の谷を詰めると、タキ谷峠(A-12)に到達する。 次は、(A-14)からさらに200mくらい東の山が削れたところ(ヨコロ峠)(A-15)に取付がある。「点の記」で 御本陣松山の三角点へ至るルートとして示されているルートだが、登りやすいのは、最初だけで、登るにつれて荒れてくる。 さらに東へ300mくらいのところ(A-16)は、御本陣松山の三角点 へ直接登れるルートだが、道らしい道はないというか、かなりの急斜面を「道もないのに這い上がる」といった感じだ。 推薦できるルートではない。尾根道ははっきりしているので、いずれのルートを登っても30分以内に、三角点(A-17)へ到達できるだろう(眺望なし)。 なお、三角点から東方向へも道はあるが、ほとんど歩かれた形跡もなく荒れているので行かない方がいいだろう。
このレポートは、2005年に作成したもので、この山を不知山(しらずやま)と表記していたが御本陣松山と変更した。 この山の山林字は、稜線北側が「見山の内御本陣松山」、 南側が「不知山」となっているが、 不知山の範囲は県道助藤津田線付近までの大変広い範囲でかつ2箇所に分かれていて、この山の呼称としてふさわしくないと判断した。 また、「西中国山地」(桑原良敏著)によると「五本寺松山」と書かれ、 「リュックかついで」(中国新聞社編1980年)では、「五本神松山」と書かれ、 漢字表記の違いはあるが、ほぼ同じルビで「ごほんじんまつやま」と読んでいいようだ。

虫道の三叉路〜オオネントウ

虫道の三叉路(A-18)から、ホンタク谷を詰めていくルート。舗装道はすぐに終わって(A-19) 杉が植林されている石を積んだ水田跡の横の道を進む。谷の再奥部(A-20)で谷道がはっきりしなくなる。 正面の尾根を進むルート。向かって右手の谷を詰めるルート。 さらに右手の尾根を進むルート(オオネントウ三角点の「点の記」のルート?)を選択する ことになる。 いずれも御本陣松山とオオネントウを結ぶ尾根道に合流する。 縦走路を急登するとオオネントウの三角点へ到達する(A-21)
下山ルートとして西大峯山方面から虫道の三叉路へ出る場合には、 オオネントウの南側からホンタク谷に降りるとよい。オオネントウでは、 南西方向への尾根に進みたくなるので、 その方向には進まずに、地形図を確認して南側のホンタク谷へ降りる。 谷まで降りれば、谷道があるので、三叉路まで下山するだけだ。
上述のオオネントウから南西方向の尾根の踏み跡の件であるが、 踏み跡らしいのはオオネントウから数十m程度のところまでだ。 そこから先に、何の踏み跡もないなだらかな尾根が続いている。その先に「明石山」(A-22) と思われる小ピークがある。ここから、南西方向に進めば、助藤地区方面に下山できそうだが、作者は、南に進路をとってと、ホンタク谷の取付付近に下山した。若干のヤブコギをすれば、歩けないではないが、あえて行く必要はないだろう(A-23)。 「西中国山地」(桑原良敏著)「リュックかついで」(中国新聞社編1980年)ともにこの山を赤石山と書かれているが、 旧佐伯町の山林字では「明石山」となっているので、こちらを採用した。

サイノ神峠〜西大峯山

県道本多田佐伯線を北へ進み広島市佐伯区湯来町と廿日市市の境界(大谷峠)の廿日市市側に林道夏夜鳥線の分岐(未舗装)がある(A-24)。この林道を南方向へ進むと すぐにサイノ神峠へ着く。ここは錐山の主尾根の北側始点でもある。 サイノ神峠付近の西大峯山斜面は若木の植林地になっており、 標高720m付近まで植林地管理用の作業道が付けられているのでここに取り付く(A-25)(A-26)。 作業道終点まで進み、直進路は笹藪となるので、山に向って左側の植林地を登る。 作業道終点付近はきれいに笹が刈られていた(A-27)。 この植林地は手入れが施されており下草が少なく踏み跡はないものの大変登りやすい。 植林地内は景色が単調だ。しかも、標高850mを越えると斜面が平面的になり、 だた登っているだけという感じになる。西大峯山山頂のやや西側で、主尾根縦走路 に合流する(A-28)
植林地内には踏み跡がなく大変単調な景色でかつ平面的 なので、下山路には使用しない方がいいだろう。 山頂まで1.5時間程度。
(A-1)県道虫道廿日市線を玖島川上バス停より分岐。 (A-2)ツヅラガ谷ルートの取付。
(A-3)舗装道終点から丸太橋を渡る。 (A-4)「七人墓」、右側の標石には「古七人賊難」と彫られている。
(A-5)ゴーロ帯の山に向かって右側にナメラ滝が見える。 (A-6)カレキガ丘の東側の登山道に「保安林」の標識がある。
(A-7)カレキガ丘北側の湿地帯。 (A-8)西大峯山山頂の東側で縦走路に合流。
ツヅラガ谷側より望む。
(A-9)舗装道終了場所から南西側の分岐を進む。車止めがしてある。 (A-10)道が急に明るくなる。伐採後植林されていないと思われるところ。
(A-11)ここから、タキ谷峠に向かって取り付く。 (A-12)タキ谷峠は桧の植林地の中。 登山路は交差点になっている。
(A-13)トラバース路は歩きやすい。 (A-14)御本陣松山への取付(1)。最も西側。 わかりにくい。
(A-15)ヨコロ峠の御本陣松山への取付(2)。「点の記」記載の登山ルート。
崖の上に道がある。駐車場所として利用できる。
(A-16)御本陣松山への取付(3)。東側、三角点へ直登のルート。
(A-17)御本陣松山の4等三角点。点名は「東不知」。 (A-18)虫道の三叉路を助藤地区側から見たもの。
(A-19)舗装道はすぐに終わり、水田跡の植林地を進む。 (A-20)谷の最奥部。正面の尾根・右手の谷・
さらに右手の尾根のいずれかに取り付く。
(A-21)オオネントウの4等三角点。点名は「横路」。 (A-22)ここが「明石山」だろうか?
(A-23)ホンタク谷に近づくと植林地となる。 (A-24)県道本多田佐伯線より林道夏夜鳥線が分岐する。
(A-25)サイノ神峠から作業道に取り付く。 (A-26)作業道から氷水山(北峰)を望む。
(A-27)作業道終点付近。 (A-28)西大峯山山頂の西側で縦走路に合流。
サイノ神峠方面より望む。



御本陣松山〜オオネントウ〜西大峯山(縦走路)

御本陣松山のやや西側にオオネントウから続く尾根への道が分岐している(B-1)。 わかりにくいので、地形図を見ながら見落とさないようにする。一旦高度を下げてコルへ出て少し進むと、 桧林の中で再びコル(A-12)となる。2回目のコルが、タキ谷峠でここには交差点状に道がある。 上述しているが、東へ分岐すると上川上方面へ、西へ分岐すれば、虫道方面(ヨコロ峠の西側約200m)へ下山できる。 直進してオオネントウ方面に進む。 笹が道を覆うようなところもあるが、踏み跡を外さないように尾根を進むとよい。 ここから、高度を上げて766mピーク(B-2)を越えてからは、ながらかな地形がオオネントウの手前まで続く。 オオネントウの手前から笹道になるが、虫道の三叉路からの登山道と合流する関係で、踏み跡がはっきりしてくる。 ここから、少し登るとオオネントウの三角点(A-21)に到達する(眺望なし)。
オオネントウのピーク付近は笹が多い。西大峯山方面に進むと1つ目の小ピークの手前まで笹道(B-3)が続く。 踏み跡を確認しながら進むといいだろう。 さらに小ピークをもうひとつ越えて西大峯山山頂(B-4)へ至る(眺望なし)。 「西大峯山頂1009m」と書かれた立派な山頂標識がある。「点の記」によれば正式には「崇峰山」というらしい。 俗称として「西大峯山」と記載されている。 山頂は、廿日市市と広島市佐伯区湯来町との境界上に位置する。ここからさらに東へ進めば、西のた鞍部を経て「大峯山」へ至る。 山頂から東側の縦走路はシロモジ主体の雑木林で、笹も少なく歩きやすい。 テープはあるのだが、主尾根から西のた鞍部へ降りるポイントが わかりにくく迷いやすい。地形図を見ながら進むとよい。鞍部手前は倒木地帯となっている。
(B-1)オオネントウ〜西大峯山へ至る縦走路への分岐点。わかりにくい。
御本陣松山三角点側の尾根道から撮影。
(B-2)766mピーク。眺望なし。
(B-3)オオネントウから次の小ピーク手前まで笹道が続く。 (B-4)西大峯山の4等三角点。点名は「崇峰山」。



西大峯山〜オオネントウ〜御本陣松山登山地図
「この地図は、国土地理院長の承認を得て、 同院発行の2万5千分の1地形図(津田及び湯来)を複製したものである。 (承認番号 平20業複、第450号)」

なお、このページ内で使用している登山ルートの名前・登山口や分岐点の名前などは、便宜上、作者が勝手に命名したものもあります。地図に記載した登山ルートは GPS等により測定したものではありません。

作成:2008年12月26日



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