氷水山(南峰)の西側斜面より加森山を望む。 前方中央右から2番目のピークが加森山、その背後に中河山が見える。 |
中国電力西山口幹線145号鉄塔(板敷山南部)より神根川峰を望む。 撮影位置が悪く逆光状態。 |
加森山は、板敷山の南側、黒打山の北側に位置し、県道所山潮原線と林道鹿ノ打線に挟まれており、主尾根稜線は北東から南東方向に伸びている。「西中国山地」(桑原良敏著)によると、「25,000分の1図には、中ノ川右岸にある874.2m峯に[加森山]とあるが、[カモリ山]は中ノ川右岸の山々の総称であり[カモリ山]は特定ピークの山名ではない。」と記されている。一方で、「佐伯町誌本編(佐伯町誌編纂委員会編1986年)」71ページには、所山西部の山塊として、加森山(かもりやま)・神根川峰(かんねがわみね)が紹介されている。同書では、この付近のピークが似た標高で多数存在していることに着目し、小瀬川の支流が深く渓谷を侵食する前の地形が準平原であったのではないかと推測している。
このレポートでは、25,000分の1地図の「加森山」をそのまま「加森山」とし、その北西側の標高934m峰を「神根川峰」とした。また、焼山峠の西側の4等三角点(点名:中ノ河)のあるピークを中河山(なかのこうやま)とした。中河山の山名の由来について、詳しくは板敷山のレポートに記載しているので参照されたい。
25,000分の1地図には、「加森山」の山名は記載されているが、「神根川峰」と「中河山」は、山名の記載がない。インターネット上に複数のレポートが記載されている。参考にさせていただいた。
林道鹿ノ打線の舗装は最終民家の前で終わる(A-1)。その地点から、約150m進むと鹿之打橋(かのうちはし)に至る(A-2)。この橋の最終民家側の袂から、北側に伸びる谷の林道を詰める(A-3)。林道は、谷川の
侵食を受けて荒れている。その昔は作業車も通行したと思われるが、現在では車での進入は不可能である。狭い谷を何度か右へ左へ川を渡りながら遡上する。標高600mを越えると谷幅が広がり、林道も谷川から
やや東側の植林地内を通過する形となる。この付近からは随分歩きやすくなる。標高約650mまで進むと大きく谷が2つに分岐する。林道は、北西方向の谷に去る。加森山には、この分岐を北方向の谷へと進む。この付近の登山道はしっかりしている。標高約770m付近まで谷を詰めると、一旦植林地が終わり、小規模な雑木林が
現れる(A-4)。登山道は、尚も谷の奥へと続いているが、雑木林の先の植林地で東側の尾根を登る(A-5)。この尾根に道はないが、下草もないので歩きやすい。
急な斜面を登り小コブを越えると、加森山の西側尾根に到達する。尾根に大きな岩がある(A-6)。3等三角点「蛇ノ谷」のある加森山山頂はすぐの所だ(A-7)。
鹿之打橋から加森山山頂まで約100分。
加森山山頂付近は、やや複雑な地形をしている。一番西側のピークが加森山山頂である。このピークから東に向かって、中央峰を経て東峰があり、さらに、中央峰の北側には北峰がある。これらのピークの内眺望が期待できるのは東峰だけだ。東峰山頂は岩場で、東側の眺望に優れており、氷水山や大峯山などがよく見える(A-8)。山頂付近の拡大図を参照。
鹿之打橋を渡り、林道鹿ノ打線を遡上する。約500m進むと林道は、脱落した橋(A-9)に至り、川を飛び石伝いに渡る。その先も、笹に覆わわれているが幅員が充分にある林道が続く。(A-10)。林道は、谷川に沿った形で進む。やがて、林道終点へと至り、そこから先は、高度を上げて、谷の左岸(登り方向右手、谷の北側)を高巻きする形となる。高巻きが終了する地点で、谷が北方向と西方向の二つに割れて、登山道も2分岐となるので、登り方向に向かって左側(西方向の谷)を進む(A-11)。やがて、登山道は谷川の侵食を受けて、やや不明瞭となる場所もあるが、むずかしいというようなところはない。鹿之打橋から60分で、鹿ノ打峠へ到着する(A-12)。
このルートの南側は黒打山国有林となる関係だろうか、非常に綺麗に間伐・枝打ちされた植林地が続く。鹿ノ打峠は、平坦な地形(恐らく人工的な)で、西側から林道黒打線の枝林道が伸びている。25,000分の1地図に記載されている建物はない。植林地管理用の作業小屋のようなものがあったのであろう。林道と間伐林の関係で、峠では、これまでの暗い植林地から一気に明るい日差しが届く。
峠から、南に進む黒打山への登山道と、北ヘ進む神根川峰への登山路が分岐している。このルートは、飯山地区と所山地区をつなぐ主要道であったと思われる。
鹿ノ打峠から北側の植林地へ向かい急登し、大きなコブを越える。その先のコルには、コンクリート舗装の林道黒打線の枝林道の終点がある(A-13)。このコルから、再び急登し、2つ目のコブに4等三角点「東天徳」がある(A-14)。さらに、北方向に何個かコブを越えて進むと、神根川峰へ到着する。鹿ノ打峠から約120分。登山道は笹に覆われているところが多いが、近年地籍調査がされた関係で歩きやすい道が続いている。
蛇ヶ谷橋を虫渡橋方面に向かって越えて約100m進んだ地点の植林地脇に取付がある(B-1)。この取付から山道を登り谷を詰める。恐らく、この谷の名前を「蛇ヶ谷」と呼ぶと思われる。加森山山頂の3等三角点の点名は「蛇ノ谷」で一字違いではあるが同意であろう。
取付より少し進んだところに「入山禁止」の看板がある(B-2)。作者は山に登られていただいたが、入山させていただいたことに感謝するとともに、持ち帰るのは写真だけとしていただきたい。道は、滝(B-3)を避けるために左岸をトラバースして進む。左手の滝(落差10m程度)の上流側で谷川を渡る(B-4)。この先で、山道は分岐するが、谷道を進む。きれいに整備されている山道は取付よりここまで。壊れた鉄橋(B-5)を2回渡りその先に再び滝がある。この付近から先は、過去に発生した土石流の影響か倒木が多く山道も削られてはっきりしなくなる。標高約550mで三つ目の滝があり、その先からしばらく谷間は植林地となる。踏み跡は、どんどん薄くなる。倒木や流木がますます増加し、歩きにくくなる。谷は、大変狭く、両岸の山肌は新旧数え切れないほどの土石流の爪痕が見られるようになる。激しい侵食を避けるためか標高約700m付近から山道は左岸の高い位置をトラバースして進む。今にも消えそうな非常に微かな踏み跡である。この踏み跡も、標高約760m付近の炭焼釜跡で完全に消失する(B-6)。谷は、すり鉢状になって、両岸は侵食されて植物もほとんど生えていない(B-7)。山頂のわずかに手前だが、谷の遡上を断念して東側の尾根(後述の蛇ヶ谷とキコリ谷の間の尾根)へ登りその尾根を詰めると、加森山山頂東側約120mの地点(中央峰と東峰の間)に達する(B-8)。尾根から中央峰と東峰の間に登る斜面は藪が深い。また、この尾根へ下山する場合には分岐点がわかりにくい。このルートは荒れた道が多く決して登りやすいルートではない。取付から加森山山頂まで120分程度。
この蛇ヶ谷付近の地質は、ほどんど全て花崗岩で、谷底の岩盤以外の風化した花崗岩(マサ土)は、激しい浸食を受けているようだ。蛇ヶ谷が深い渓谷を形成しているのも、このような地質が原因と思われる。
虫渡橋の袂、蛇ヶ谷橋側に岩場がある。この岩場に向かって左手に取付がある(B-9)。この岩場の上を越えてやや北西方向へ トラバースして尾根に至り、ここからは加森山中央峰と東峰の間の鞍部付近までずっと尾根道となる。 途中、大きな岩場を3回越える。2つ目の岩場は向かって左側を大きく迂回して越える。3つ目の岩場には、 地籍図根三角点があり、岩の上からの眺望は素晴らしい(B-10)・(B-11)。これから先にも、数回岩場がある。極端に荒れていないが、山道の脇の小雑木がうるさい(B-12)。取付から加森山山頂まで100分程度。 このルートを登るときに迷うことはないと思うが、下山時には、尾根を間違ないよう十分注意をされたい。 なお、蛇ヶ谷の「入山禁止」看板の先、約10mの所からもこのルートに合流する登山路がある。同様に、そこから約200m進んだ木橋の先の炭焼き釜跡付近からも、このルートに合流する登山路がある。
焼山峠~中河山焼山峠のやや旧佐伯町側の保安林標識の脇の取付より登る(B-13)。少し登ると県道の切り通しの上側に至り、そこからは中河山山頂まで植林境の笹道を登る(B-14)。約30分で中河山山頂に立てる。旧佐伯町側が植林地で旧吉和村側が雑木林で、山頂付近の雑木林にはブナもあるが小ぶりである。山頂手前は大変な急登となる(B-15)。4等三角点のある山頂の眺望は余り良くない(B-16)。雑木林越しに板敷山や大焼山が見える。
中国電力東山口幹線の鉄塔巡視路を登る県道所山潮原線の焼山橋より、約1.1km吉和側へ谷を遡上した所に、中国電力東山口幹線の送電鉄塔巡視路への分岐がある(B-17)。 ここから、巡視路を辿って、カモリ谷を遡上し、神根川峰のやや西側の主尾根へ登る。 県道から谷川へ降りると手前の橋が脱落しており、飛び石伝いに渡る。すぐに、再びカモリ谷の谷川を橋で渡る。標高710m付近に、中国電力の標柱があり(B-18)、 西山口幹線147号鉄塔方面は谷に向かって左へ、148号鉄塔は右へ進むように案内がしてある。147号鉄塔は、東西の眺望に優れているので、時間に余裕があれば立ち寄ってもよい。標柱の先で、谷道は谷の奥の植林地へと続いているが、谷に向かって右手の尾根に取り付き148号鉄塔を目指す。この尾根を標高850m付近まで詰めて、尾根が急峻になる手前で西方向へトラバースして、148号鉄塔へ到達する。148号鉄塔から、主尾根はすぐの位置である。県道から約40分で主尾根へ至る。登山道は、整備が行き届いている。
加森山の中央峰から、神根川峰に向かって縦走する。神根川峰への登り斜面を除いて、比較的歩きやすい尾根道が続いている(C-1)。時折、板敷山が東側に見える。 神根川峰手前の標高840m付近に神根川峰の南側斜面を大きく迂回するトラバース路がある(C-2)。神根川峰を回りこんだ植林地でこの道は消失するので、 消失地点から尾根へ登る。尾根には、鹿ノ打峠からの登山道がある(C-3)。 トラバース道の分岐地点から、直進するルートは藪が濃く、かなりの急登になる(C-4)。神根川峰の山頂やや南側で、鹿ノ打峠からの登山道に飛び出す(C-5)。神根川峰はこの山系の主峰で堂々とした風合いがする。ただ、山頂は雑木に囲まれて展望は今一歩だ。(C-6)。加森山山頂から神根川峰まで約80分。
神根川峰~中河山神根川峰から先の縦走路は、後述の「手入れされた雑木林地」まできれいに整備されている。中河山方向に、神峰川峰急斜面を滑るように降りて(C-7)、しばらく進むと中国電力東山口幹線の巡視路の分岐を見て、148号鉄塔の傍を通過する。さらに進むと縦走路の東側に「手入れされた雑木林地」が開けてくる(C-8)。この雑木林地の南端の908m峰は、眺望に優れているので、立ち寄るのもよい(C-9)。縦走路は、この雑木林地の縁の尾根を進み、途中で、中河山の方へ去る形になる。この分岐点はわかりにくいので注意を要す。登山道が整備されているのはここまでで、2箇所のコルを越える。コルとコルの間は、東側の植林地を迂回することもできる。それ以降、腰くらいの高さの笹の道を赤いテープを頼りに進む(C-10)。神根川峰から中河山山頂まで約100分。
国道186線にかかる「黒打橋」の栗栖側の袂より林道黒打線が分岐している(D-1)。分岐点にはゲートが設置されているが、黒打川に沿って林道を徒歩で歩くことはできる。近年、間伐作業が行わた関係できれいに未舗装ながら整備された林道が続いている。約2.3km遡上すると、谷が広がり、作業用の広場があり、黒打山国有林の看板がある(D-2)。地形図を見るとわかるが、この谷は、全般的に勾配が緩い。谷の脇の尾根もそれほど高くない。鹿ノ打峠(A-12)より東側の所山地区の谷や「中の川」の谷が深く切り立っているのと非常に対称的である。この広場付近から、枝林道がそれぞれの谷に分岐している。この付近から、神根川峰方面の植林地の間伐作業が大規模に行われたらしく、小さな谷にも、作業道が作られている。黒打橋から広場まで、約45分。
黒打山国有林の看板がある広場~鹿ノ打峠この黒打山国有林の看板のある広場から東の枝林道へ分岐すると鹿ノ打峠(A-12)へ至る。この付近は、作業道が沢山設置してある。何の標識もないので、迷わないように地形図を見ながら進む。 広場から鹿ノ打峠まで、約20分。 黒打山国有林の看板がある広場~神根川峰西側の主尾根
前述の広場から先も、きれいに整備された林道が進む。広場先の橋を渡り、その先約200mで、 東側への分岐する橋に至る(D-3)。神根川峰方面には、ここを東へ分岐する。 直進は、王子緑化(株)林道で、飯山貯水池南側方面に続いている。ここでは、東側へ分岐する。道なりに進むと、 4等三角点「野田越」の東西側のコルを越えて「太田川源流の森」へ至る分岐点(D-4)を見送り、さらに進むと、 「センター造林地(天徳)」の看板が林道の右手にある(D-5)。ここを東の枝林道へ分岐すると、(A-13)のコルへ至る。終点のコル付近はコンクリートで舗装されている(A-13)。25000分の1地図において、この付近の谷川の位置に誤りがあるので、登山地図では、修正している(詳細図を参照)。目標の少ない場所を歩くとき、谷川の位置も重要である。
加森山や中河山への登山路からは外れるが、4等三角点「野田越」の東側のコルを越えて、「太田川源流の森」を抜けて、県道所山潮原線のゲートまで歩く。
「この地図は、国土地理院長の承認を得て、
同院発行の2万5千分の1地形図(湯来、津田、安芸冠山、宇佐郷)を複製したものである。
(承認番号 平25情複、第653号)
「この地図は、国土地理院長の承認を得て、
同院発行の2万5千分の1地形図(宇佐郷)を複製したものである。
(承認番号 平25情複、第653号)
加森山山頂付近拡大図
「この地図は、国土地理院長の承認を得て、
同院発行の2万5千分の1地形図(津田)を複製したものである。
(承認番号 平25情複、第653号)
作成:2011年10月13日 & 2013年4月10日 & 2014年1月13日 & 2014年10月24日
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