氷水山 (南峰)標高794.1m (北峰)標高948.4m

北山三角点南側の岩場より氷水山(南峰)を望む。 錐山山頂より903m峰越しに氷水山(北峰)を望む。
北山三角点南側の岩場より氷水山(南峰)を望む。 錐山山頂より903m峰越しに氷水山(北峰)を望む。


氷水山は、
板敷山の東側、錐山の西側にある山だ。このレポートでは、南側の4等三角点のあるピークを氷水山(南峰)と称し、北側の3等三角点のあるピークを氷水山(北峰)と称する。一般的に氷水山と言えば、南峰を指すとのことだが、「西中国山地」桑原良敏著によると、「氷水山」という名称は、特定のピークを指していないと書かれており、この南峰から北峰にかけての全体を指す名称とのことだ。この付近の山林字は、南北へ連なる稜線を境として県道本多田佐伯線側が氷水山でコムギ谷側が中山となっている。南峰は、円錐形に切り立った山姿をしており、付近の山から見て分かりやすい山だ。南峰北峰ともに近年地籍調査が行われたらしく主要な登山道には地籍調査の杭がある。なお、25,000分の1地図に山名は掲載されていない。 インターネット上に、複数のレポートが掲載されている。参考にさせていただいた。

南峰

所山発電所前からのルート

所山発電所の入口の対面の民家脇に取付がある(A-1)。ストレートに登るとすぐに行き止まりになるが、登山道脇の手摺を超えて、数m逢来橋側に寄ったところに、尾根に上がる登山道がある。山道はあまり歩かれていないと思われるが荒れてはいない。あまり見通しの効かない尾根道を進む。時折、南峰の切り立った斜面が目の前に広がる。 しばらく歩くと、南峰の西側斜面に到達する。ここからの登山道は、岩場の連続となる(A-2)。西側斜面からの眺望はよいが大変な急登だ。山頂手前には巨岩がある。ここを越えるには、ロープ・鎖・梯子などがないと越えられないほどだ(A-3)。作者は無理やり岩を登ったけれど、身の危険を感じた。岩を迂回するルートも探したが、付近はやせ尾根で切り立っており、迂回するルートが見当たらない。 地形図を見る限りやせ尾根と巨岩があるようには見えない。後述するが、南峰の南側斜面はガレ場でかなり激しく崩落しているのかもしれない。 一方、巨岩の上からは、素晴らしい眺望が望める。板敷山青笹山・吉和冠山などが見える(A-4)(A-5)。そこから山頂までは、わずかな距離だ。4等三角点がある山頂からの眺望はない(A-6)
西側斜面を登り始めてすぐの所、東側に後述の二井山集落への分岐付近からのルートへ繋がるトラバース道への分岐がある。山頂手前の巨岩では無理はせずに、ここまで戻って、 南側斜面から登るルートで山頂を目指した方がよい。 取付から山頂まで140分程度。山頂手前の巨岩を超えるのは危険かつ困難。

二井山集落への分岐点付近からのルート

二井山集落への分岐点脇に取付がある(A-7)。植林地内を登り、谷をトラバースして、植林地が終わり雑木林となる。何の道標もないが、トラバース道から山頂方面への分岐がある(A-8)。 この分岐の先は土石流跡(A-9)で崩落しているので、これを目印にするといいだろう。南側の斜面を登る。ここも斜面は岩場となっている。大変な急登で、登り切るとやや緩やかになり、その先に山頂がある(A-6)。山頂から西方向への小道を進むと上述の展望地へ至る。
トラバース道は、山頂方面への分岐後、少し先で上下に分岐する(A-10)。下側は、先に進むほどに道が痩せて、やがて消失する。上側は、上述の西側斜面の登山道に合流するが、西側斜面に近づくほど痩せており、今にも斜面に吸収されそうだ。
下山時に道を誤りやすい。登山道から西側の斜面は、ガレ場になっており、礫が多く簡単に落石するので危険で歩きにくい(A-11)(A-12)この図では明らかでないが、尾根道が花崗岩であるのに対して、南峰のガレ場は、泥質岩のようだ。取付から山頂まで50分程度。

(A-1)所山発電所前の取付。 (A-2)西側斜面の岩場を越えて登る。大変な急登。
(A-3)山頂手前の巨岩。危険(本文参照)。 (A-4)巨岩上からの板敷山を望む。
(A-5)巨岩上からの青笹山を望む。 (A-6)南峰山頂の4等三角点。点名は「南氷水」
(A-7)県道助藤津田線からの取付。二井山集落への分岐付近。 (A-8)南側斜面登山道への分岐。
(A-9)土石流跡。 (A-10)分岐。東側より撮影。
(A-11)ガレ場(1)。 (A-12)ガレ場(2)。


北峰

コムギ谷からのルート

林道所山青笹線が、中国電力東山口幹線の送電線と交差する直下付近に、この送電線の保守道取付がある(B-1)。ここから、141号鉄塔を経由し140号鉄塔へと登る。141号鉄塔の手前に鉄塔保守道が崩落した箇所があるが、ていねいに修復されている(B-2)。141号鉄塔からは、903m峰や青笹山がよく見える。140号鉄塔から北西側の尾根を登り、突き当る尾根を北東側へ進む(B-3)。 笹が繁茂し時折倒木がある。踏み跡はない。3等三角点のある山頂は、平面的で、眺望もなく方向感に欠ける(B-4)。取付から140号鉄塔まで50分程度。140号鉄塔から山頂まで30分程度。 取付までのルートは、青笹山のレポートを参照。

大虫バス停〜ウエノオク谷〜138号鉄塔〜139号鉄塔〜140号鉄塔

大虫バス停のある三叉路を北方向へ分岐し、600m程度進むと、西側にコンクリート舗装の分岐があるので、ここに取り付く(B-5)。舗装道は、その先の墓地の先で終わり、すぐに山道になる。大虫川の支流を渡りウエノオク谷を詰める。時折、道が川となり洗われていたり、笹に覆われていたりするが、ピンクのリボンが掛けてあるので目印にすれば迷うことはないだろう(B-6)。やがて、中国電力東山口幹線の保守道に突き当たるので、ここからは、保守道を進む(B-7)。138〜139号鉄塔を経由して140号鉄塔へ至る。全ルート植林地内で変化に乏しい(B-8)。大虫バス停から140号鉄塔まで90分程度。

(B-1)コムギ谷の林道所山青笹線からの取付。 (B-2)141号鉄塔手前の鉄塔保守道崩落箇所。修復されている。
(B-3)140号鉄塔。ここから笹コギで三角点まで登る。 (B-4)北峰山頂の3等三角点。点名は「氷水山」
(B-5)ウエノオク谷への取付。 (B-6)笹道を進む。ピンクのテープが目印。
(B-7)鉄塔保守道合流。 (B-8)植林地内の保守道を進む。
138号鉄塔の先の谷川にかかる橋。


縦走路

クロイ谷〜上峠〜カシゴヤ峠

このルートは、25,000分の1地図に破線で書かれている。大渡橋の大虫地区側の袂からクロイ谷を進む(C-1)。 クロイ谷側は林道(作業道)となっており歩きやすい。林道終点から先にも、クロイ谷を詰める道が続いているが、林道終点のすぐ先で南側の尾根へ登る(C-2)。 その先の分岐から上峠(C-3)までは、笹道となるが、踏み跡はしっかりしている。 一方、カシゴヤ峠(C-4)から上峠(C-3)への登山道は上峠手前に崩落個所があるものの大変歩きやすい。 25000分の1地図にも破線で示されている山道だけあって、充分な幅員があり、かつての賑わいを感じさせる山道である。 大渡橋から上峠まで30分程度、カシゴヤ峠から上峠まで15分程度。 カシゴヤ峠までのルートは、青笹山のレポートを参照。

上峠〜800m峰〜903m峰〜140号鉄塔

上峠(C-3)から、尾根筋に踏み跡があり、北峰方面へと縦走できる。800m峰手前に2つのコブがある。2つ目のコブまでは、県道本多田佐伯線側の植林地が間伐と下草刈りできれいに整備されており、縦走路は植林地際を進む形となり歩きやすい(C-5)。この先は、ヤブコギが必須となる。ヤブをこぎながら進み800m峰を超える(C-6)。903m峰手前までは、尾根のどちらかが植林地だ。それ以降雑木林となる。尾根道は北方向に直線的なので迷うことはないだろう。903m峰の南側には岩場があり、縦走路唯一西方面の眺望が開けている(C-7)。903m峰も全く眺望はなく雑木林の中にある(C-8)。この先で高度を落とし、140号鉄塔に向けて再び登る。上峠〜140号鉄塔まで120分程度。

(C-1)大渡橋の袂。クロイ谷への取付。 (C-2)林道終点。その先すぐより、南側尾根へ取り付く。
(C-3)上峠。 (C-4)カシゴヤ峠。法面に取付がある。
(C-5)2つ目のコブ。ここから先はヤブコギ。 (C-6)800m峰。眺望なし。
(C-7)903m峰手前の展望地。地籍図根三角点あり。 (C-8)903m峰。眺望なし。



氷水山の登山地図
「この地図は、国土地理院長の承認を得て、 同院発行の2万5千分の1地形図(湯来及び津田)を複製したものである。 (承認番号 平20業複、第450号)」

なお、このページ内で使用している登山ルートの名前・登山口や分岐点の名前などは、便宜上、作者が勝手に命名したものもあります。 地図に記載した登山ルートはGPS等により測定したものではありません。

作成:2008年9月29日 & 2009年11月25日



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